犬と狼の違い

犬の先祖は狼であるという話を聞いたことのある方は多いかと思います。

でも犬と狼の違いって何か分かりますか?

「なんとなくいつも思っていたけれどもどこが違うのかそういえば考えたことはないなぁ」、「そもそも犬と似ているなら狼も飼えるんじゃね?」と思いますよね。

この記事では、犬と狼の違いや、人間と狼が歩んできた歴史、そして狼に近い犬種を紹介しています。

犬と狼の違いについて知識を深めていきましょう!

目次

犬と狼

犬と狼って顔つきも遠吠えなどの鳴き方もすごく似ていますよね。

実際に研究者が犬のDNAを調査したら、犬の祖先は「ハイイロオオカミ」であることが判明したそうです。

そのハイイロオオカミが人間に懐き、徐々に犬化をしていったことで世界中に犬が広まったと言われています。

とても興味深い歴史がありますが、現在の「犬」と「狼」はどのような違いがあるのでしょうか。

さっそく犬と狼の違いを見ていきましょう。

何が違う?

犬と狼の違いを説明していきます。

犬はどの犬種もしつけをすれば飼い主さんに従順で、人間によもよく懐きます。

そのため散歩やお手や伏せなどしつけをすると飼い主さんの言うことをよく聞いてくれるのです。
また、一緒に寝たり、飼い主さんと遊んだり、ましては家族の一員となるほどペット化しています。

しかし、狼の場合は、野生の動物なため人に懐くことはほとんどありません。

赤ちゃんの頃から飼い始めたらある程度犬のように人に懐いたり、しつけをしたら人間に従順になるのかもしれませんが、やはり犬よりは飼育するのも難しいと言えます。

このように若干似ている部分はたくさんありますね。

犬と狼は、「ペット」か、「野生」かの違いもありありますが、生態にも違いがあるのです。

犬は飼い主さんからご飯をもらいますが、狼は群れの仲間と共に自分のちからでご飯(獲物)を狩って生きています。

こうした背景の違いがあるため、狼の方が体格や体の部位が大きく筋肉も発達しています。

では、見た目に関しての違いを詳しく見ていきましょう。

狼は自然界で群れとともに生活しており、生きて行くためには獲物をハントしないといけません。

そのため、獲物を捉えて共に生活をする群れの仲間にも分け合うためにも歯が強靭です。

歯が強靭であるとそれを支えるためにも頭部が大型になります。

”頭から鼻の先までほぼ直線”というのが狼の頭部の特徴です。

また、頬骨の位置が高いため犬と比較するとツリ目で頭部の位置も犬に比べると低く、頭部から背中にかけて地面と水平です。

一方ペット化した犬は自分で狩りをするわけでもなく、獲物を噛みちぎる必要がないため、それほどまでに強靭な歯ではありません。

ですので頭部もそれほど大きくはないのです。

犬の頭部は”目の周辺の骨にへこみがある”というのが特徴です。

また、犬と狼では足跡も形が異なります。

犬の場合は、丸くてかわいらしい肉球で、足の裏が丸い円のような形ですよね。

しかし、狼の肉球はとても細長い形をしており、足の裏全体が楕円形となっています。

これは野生の狼が狩りのために長距離を走るのに適した形となっているためです。

こういった体格に大きな差がでるのです。

狼の種類にもよりますが、狼の体胴長100~160cm、体重は25~50kgと大型です。

そして生息している地域が高緯度であるほど大きくなる傾向があるようで、記録上ではアラスカで捕獲された狼の体重が79.3kgととても大きいのです。

犬と狼の共通点

犬と狼を観察してみると同じような仕草をしていることが多々あります。

例えば愛犬が寝る前にくるくると歩きながら、足元を踏み固めるような仕草をすることはありませんか?

実は狼たちも寝る前にはくるくると歩き、その後腰を下ろして寝る体制をとります。

これは寝る前に足場を踏み固めて、寝床を作るためにする仕草です。

ペット化された犬にもこの習性が本能として残っているのですね。

このような仕草を見ると、狼とは似ても似つかないちまちました小型犬であっても祖先は狼だったのだなぁと感慨深くなるものですね。

犬と狼の母から子供に伝わるミトコンドリアDNAは99%近く一致すると言われるほど近しい存在だそうです。

狼は「ワン」と鳴くことはありませんが、犬の遠吠えと狼の遠吠えはほとんど一緒です。

他にも肉体的な部分で多くの共通点があります。

骨や、歯の形、そして数も一緒です。 そして、足の指や爪が突出しているという点や、汗をかくための汗腺がないこと、とても嗅覚が良いことなどです。

さらには犬の病気としてよく知られているフィラリア症は、狼も感染します。

このように肉体的にも生態的にも犬と狼には共通点があります。

上記で述べた、DNAが99%近く一致したとされる研究では、犬と狼は現代においてもお互いの子供を作ることが可能だそうです。

犬の先祖であるハイイロオオカミは、狼の種類の中でも亜種と言われる部類で、犬が具体的にどの地域でどの亜種から分岐したかについては定かではないそうです。

ですが、一説によれば比較的大人しい亜種の狼を家畜として飼いならし始めたことがきっかけだと言われています。

そこから徐々に交配していき、野生の狼がペットの犬となっていきました。

その中でも狼に最も近いDNAを持っているのはなんと「柴犬」だそうです。

反対に見た目は全然似ても似てつかないのですが、DNA比較をした時に狼に似ている犬種の中に「シーズー」や「ペキニーズ」がいます。

こういった研究結果を見ると犬の祖先は本当に狼なのだと感じますね。

やはり犬と狼の違いは「ペット」か「野生」の違いなのでしょうか。

犬と狼の別れ道

犬の先祖であるハイイロオオカミからいかにして犬へと進化を遂げたのでしょうか。

犬はタイリクオオカミの一種であるハイイロオオカミの亜種から派生しています。

狼が犬に分岐した時期や、どのような経緯で狼を家畜化したかについては定かにはなっていないようです。

ですが、最近の研究結果によると2万年~4万年前に特定の場所で狼から進化したという可能性が高いようです。

おそらくは中国を含む東南アジア南部のどこかで狼を家畜化したとされています。

これまでは数千キロ離れた場所にいた狼の2つの群れから、別個に人間が家畜化したものと考えられていました。

ですが、この研究を行ったチームはドイツとアイルランドにある4700~7000年前の遺跡の発掘現場で見つかった犬のDNAを調べてみたそうです。

するとその犬は現代の欧州に生息する犬と祖先が同じであるということが分かりました。

この研究結果から犬の家畜化は2万~4万年前に起こったことだと突き止めたそうです。

家畜化された経緯として、一説では狼の群れが人間の残したご飯をあさるために集落の外れに移動したことにより、人間と触れ合うようになったようです。

そして、比較的従順でおとなしい狼は、人間の残り物にうまくありつけたようです。

こういった経緯がきっかけで、人間と狼が長い時間をかけて共生するという関係を築き犬へと進化していったのです。

そして家畜化された狼は人間に従順であれば、エサをもらえるため狩りをする必要もなくなりました。

家畜化されていった狼はだんだんと長距離を走るための筋肉、獲物の匂いを嗅ぎ分けるするどい嗅覚、獲物を仕留め引きちぎるための強靭な歯が弱体化していきました。

こういった経緯と人間に従順である証拠に徐々に肉体が弱体化するだけでなく、「垂れ耳」、「小さい頭部」、「巻いた尾」などと進化を遂げたのです。

こうした体の変化や進化は人間が近寄ったときにどのような反応を示すかという基準でもたらされてようです。

一方人間に家畜化されていない狼はエサを求めて狩りをする生活を続けます。

元々狼にある生態系はほぼ変わらずに現代の狼にも引き継がれています。

このようにして、家畜化された狼は犬へ進化を遂げ、野生の狼はそのまま進化をせずに狼の生態系を維持しています。

ということは、犬と狼の違いは「狩りをするかどうか」というのもキーワードとなる訳ですね。

人と狼

”狼に育てられた少女”を知っていますか?

死んでいたとされる少女が狼に育てられていて、人間の言葉も分からず狼のように四足歩行で走り回っており、立って歩くこともできなかったそうです。

少女以外にも人間の子供を狼が育てていたという例はいくつかあります。

このように狼と人間の歴史はとても長く深い関係があるのです。

では、狼と人間の歴史を詳しく見ていきましょう。

狼は飼えるの?

狼は飼える

上記のように狼が人間を育てていたという話もありますが、実際に今人間が狼を育てたり飼うことはできるのでしょうか。

やはり見た目も柴犬やハスキー犬と似ているため、狼を飼うこともできそうですよね。

目がきりっとしていて見た目のかっこいい狼は魅力的です。

もし飼うことができるなら、飼ってみたいと思う人もいるかもしれませんが、まず日本に生息していた狼はすでに絶滅しています。

そのため、保護をしたり捕獲することは不可能です。

海外ではどうでしょうか?

海外でも狼が生息している地域もありますが、狼はペットとしての利用や販売などの目的で輸入、輸出されていることが禁止されている動物です。

日本で狼を飼育するのは難しそうですね。

ですが法律上、狼の飼育は禁止されていません。届け出を提出すれば飼育すること自体は可能なのです。

しかし、運良く狼を飼うことができたとしても野生の肉食動物である狼を飼育することはとても難易度が高いと言えるでしょう。

狼の体格は大型犬よりも良く、歯も肉を噛みちぎってしまうほど強靭です。

元来狼が人間を襲うことはないらしいのですが、野生の動物を飼育するのは動物園などプロの飼育員でなければ無理でしょう。

もし、飼うとするならば狼が自由に走り回れる檻や、エサとなるウサギや羊などの生肉が必要となります。

では、動物園にいる狼はどのような暮らしをしているのでしょうか。

狼は大きく分けると犬の先祖である「ハイイロオオカミ」、そして「シンリンオオカミ」、「ヨーロッパオオカミ」、「チュウゴクオオカミ」など多くの亜種が存在します。

その中でも日本の動物園で飼育されているのは「シンリンオオカミ」だそうです。

タイリクオオカミの亜種で、狼の中でも最も大きくて頑丈な体をしています。

狼を見ることができる動物園での飼育は、ほとんどの動物園で広い放飼場に「放養形式」で展示されています。

狼が本来群れを作って生活する動物ですので、なるべく群れで飼育しているようです。

このようにもし個人で狼を飼うとするならば広い土地、そして群れが必要となります。

あまり現実的な話ではありませんね。

飼うこと自体は法律では禁止されていませんが、実際に飼えるのかと言えば、狼の入手経路がないこと、広い放飼場を用意できないことを加味すると狼をペットにすることは無理ですね。

ウルフドッグ

もし狼を飼育してみたいと思った方、現実的に狼を飼うのは無理だと上記では説明しましたが、「ウルフドッグ」なら飼うことができます。

ウルフドッグとは、狼犬(おおかみけん、ろうけん)と言われる犬と狼の雑種のことです。

主にハスキーやシェパードなどの犬種と、家畜化された狼を交配した犬を「ウルフドッグ」や、「ウルフハイブリッド」と呼びます。

そして交配させて誕生した犬に、狼の血が75%以上入っているウルフドッグを「ハイパーセント」と呼びます。

外見もほとんど狼に似ているため狼なの?と思いますが、分類としては「大型犬」です。

狼と掛け合わせた犬種にもよりますが、体高は66~81cm、体重は45~70kgと姿はハスキーなどと比べるとややスリムなようです。

ですが二本立ちすると人間の身長を超すほど大型なウルフドッグもいます。

ウルフドッグは「サーロス・ウルフドッグ」、「チェコスロバキアン・ウルフドッグ」の2種類のみです。

日本で飼育されているウルフドッグはカナダやアラスカから輸入されているため、正式にウルフドッグとして認められているわけではないため正式にはウルフドッグではないのです。

正式に認められているわけではありませんが、日本に輸入されてくるウルフドッグは「どこで購入するの?」と疑問に思いますよね。

実際ペットショップで販売されているのは見たことありませんよね。

もしウルフドッグをペットにしたい場合は輸入業者に直接依頼してみるかブリーダーを探すことで購入できます。

ウルフドッグのだいたいの相場が50万円前後で、中には100万円を超えることもあるのだそうです。

ウルフドッグを飼う前に確認しておきたいことがあります。

ウルフドッグは狼の血が他の犬よりも濃く入っているため、警戒心が強く野性味もあるようです。

そのためペットや犬を飼ったことがない人にはおすすめできません。

もし飼うとするならば、大型犬を飼ったことのある上級者でなければ飼うことは難しいでしょう。

また実際に飼うとなると長時間の運動が必要です。

毎日2~3時間ほどの運動が必要です。

そして大型犬よりもとても力が強いです。外で飼育をするにしても犬用の鎖であれば取ってしまい脱走する可能性もありますし、2~3mほどの柵であれば軽々と飛び越えてしまいます。

そして、ウルフドッグを飼う場合にはエサも大量に必要です。

一説によれば月に20~30万円ほど費用がかかるようです。

本当に飼うとするならばこれらのことも考えてから飼うようにしましょう。

狼の悲しい歴史

人間は狼を家畜化し、家畜化された狼は長い時間をかけて犬へと進化しました。

今や犬は大変人気のあるペットで、飼っている人にとっては家族の一員ですよね。

犬と人間は共生しお互いを理解しあって生活していますが、狼と人間はどうだったのでしょうか?

今や絶滅してしまったニホンオオカミも、絶滅した理由はとても理不尽な人間のせいなのです。

人間はいつの時代も自分勝手に振る舞っていますが、では狼が辿ってきた悲しい歴史を書いていきます。

キリスト教では忌み嫌われていた

あなたは狼と聞くとどんな動物だと想像しますか?

残酷、恐ろしい、あるいはかっこいい、家族思いなどさまざまなイメージが出てくると思います。

狼は古代の神話や伝説では死の死者の象徴として、ある時には繁殖力の象徴として、またある時には悪魔の代理などさまざま価値観で捉えられてきました。

聖書では悪魔の化身として「邪悪な狼」が「良き羊飼い」として対比されています。

その証拠として、キリスト教のシンボルである神秘的象徴の子羊をむさぼり食べる狼は、邪悪な害獣として描かれています。

ヨーロッパではキリスト教を広める時に多神教を排除するために狼を利用し、悪の象徴に仕立て上げたのです。

中世キリスト教では、土着の信仰を駆逐するために人狼説を流しました。

人狼とは、昼間は人間の姿をしているが、夜になると狼の姿へ変身し人間を襲うと考えられていたそうです。

現代を生きる私たちが聞くとなんともバカバカしい話ですが、ヨーロッパでは魔女狩りのように人狼は忌み嫌われて人々に恐れられていた存在なのです。

狼は契約により魔王のしもべとなっていると考えられ、怪しい男や気に入らない男がいると「人狼(オオカミ男)」として訴える裁判が増えたそうです。

これにより多くの人間が人狼だとされて火あぶりの刑に処されました。

1598年から2年間の間だけでもヨーロッパのジュラ地方では600人の人狼と宣言された人々が火刑に処されています。

魔女裁判官でもあったフランスの法学者は、そもそも狼など世には存在せず、魔術師と魔女が狼の姿をしているのだと主張したそうです。

こうして狼は悪魔、または悪の存在として人々に視られるようになったのです。

では実際に狼は邪悪で悪魔の使いのような害獣なのでしょうか。

狼は本来、人間を襲うことは滅多に無いとされています。

しかし、どうしても獲物が取れない時には人間を襲うこともあったようです。

また昔は戦争があると、死者や動けない負傷者はそのまま戦場に置き去りにされることが多く、それらをむさぼり人食い狼となったそうです。

その証拠にナポレオンが遠征した時に軍隊の後ろからつねに多数の狼が付き従い、放置された遺体や負傷者を狙っていたそうです。

このように、本来であれば人間を襲うことのない狼は、キリスト教によって「悪魔の使い」として扱われるようになったのです。

童話でも悪者あつかい

「赤ずきんちゃん」という童話を子供の頃に読んだことや見たことがある人は多いと思います。

簡単に説明すると、森で寄り道をしていた赤ずきんちゃんと家で寝ていた病気のおばあさんが狼に一口で飲み込まれてしまい、その後通りかかった猟師に助け出されて、狼は成敗されるという話です。

これは創作話で、赤ずきんちゃんとおばあさんは狼に食べられてしまいますが、最近では狼だけではなく肉食獣によって人が食べられるということはほとんどありません。

狼は本来人間を食料にすることは少ないと言われています。

それどころか、狼は私たちが思うような残酷な動物ではなく、むしろ家族愛の強い動物であることが学者によって明らかにされてきました。

それでも狼は怖い、恐ろしいと思ってしまうのは、幼い頃に読んだ童話の影響ではないのでしょうか?

元々この赤ずきんちゃんは「グリム童話」といい1812年にグリム兄弟がヨーロッパに伝わる民話を集大成し出版したものです。

赤ずきんちゃんにはさまざまな解釈がありますが、森でふらふらと歩いていたら悪い狼に食べられてしまうというのは「森でふらふらと歩いていたら悪い男に襲われますよ」ということだそうです。

このようにヨーロッパなどでは、悪い男=狼として扱われていたのです。

家畜を襲うため忌み嫌われ絶滅した地域もある

狼は通常6~10頭ほどの群れで狩りをしており、野生のシカやヘラジカなどの動物を協力しあって襲います。

食事の量は1頭あたり9キロの肉を食べると言われています。

イギリスでは14世紀にペストが流行し、人口の3分の1の人々が病により亡くなり、労働力を無くしました。

そこで労働力が必要な穀物の栽培から人手のかからない羊の放牧へ転換したと言われています。

ですが、その羊を狼が襲ってしまうため狼を根絶やしにする計画が遂行されました。

イングランドでは1509年頃、スコットランドでは1680年代までには狼が根絶されたそうです。

一方フランスでは地方行政単位で狼を狩り出し、つまり市民も参加して狼を追い出す猟が行われました。

一度は廃止されたそうですが、フランス革命政府が復活させ狼を激減させ19世紀の後半には狼が根絶されたと言われています。

また、アメリカでは先程説明したようなキリスト教の教えが根強く残っており、狼は家畜を殺す動物なだけでなく、人々を貧困に陥れる憎しみの対象へとなっていったのです。

アメリカが開拓を推し始める中、行き場のなくなったバッファローやその他の野生動物を狩っていた狼は食料がなくなってしまい、家畜の牛や羊を襲うようになりました。

そのため狼を根絶やしにする狩りがアメリカでも始まりました。

アメリカでの狼の狩りで注目すべき点は、異常すぎるほど執拗に狼を殺したという点です。

ただ殺すだけでなく、火あぶりにしたり、顎を引き裂いたり、アキレス腱を切ったりと酷い殺し方をしたそうです。

また狼を毒殺するために大量の毒を仕掛けたりしたそうで、アメリカの牧羊業者たちは。1865~1885年までの間に病的と言えるほど狼殺しに熱をいれていたそうです。

このように元々は人間が狼たちの獲物であるシカやヘラジカ、バッファローの居場所を開拓し、狼の食料を奪ったのです。

一方日本にも生息していた「ニホンオオカミ」はどのように絶滅したかというと、「狂犬病」です。

何度が書いたように、本来狼は人間を襲うことはありません。

しかし人が持ち込んだ狂犬病ウイルスにニホンオオカミが感染し、人を襲うようになりました。

狼たちは人間を襲いたくないのに、人間を襲うようになり駆逐される存在となってしまったのです。

このようにそれぞれの地域から狼の頭数が減ったのには、人間の身勝手な理由と宗教的な背景があるのです。

皮肉にも狼が絶滅した地域では生態系が崩れた

上記で説明しましたが、人間の身勝手な理由で多くの地域で狼は根絶やしにされてきました。

ですが、狼が絶滅したことで、狼が獲物としていた草食動物たちが増加し、その結果、植生などの生態系が崩れてきたそうです。

本来自然の摂理とはみなさんもよく聞く言葉、「弱肉強食」ですよね。

この言葉は「強きものが弱きものを餌食として、力の強いものが栄える」という意味です。

では「食物連鎖」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。

食物連鎖とは「食べる、食べられる」関係を表します。

私たち人間を含むすべての動物の食べ物は、植物の光合成によって作られる有機物が源となっています。

そしてその植物を食べる「草食動物」が「肉食動物」に食べられ、その肉食動物の遺骸がバクテリアにより分解されます。

そしてその分解された物質が植物の肥料となるのです。

この一連の過程を”食物連鎖”と呼びます。

では、狼の話に戻りますが、この食物連鎖は狼たちいわゆる肉食動物がいなければ成り立たないのです。

生態系のピラミッドと言い、食物連鎖の構造にはいくつかも層があります。

大まかに分けると、その頂点に肉食動物がおり、その下に草食動物、最下層に植物がいます。

そのどれか1つでも欠けたり、極端に増えてしまうと生態系が崩れます。

人間たちの都合で根絶された狼がいなければ草食動物は、襲われることなく数を増やしていきます。

そうすると草食動物のご飯となる植物は足りなくなります。

一種の動物がいなくなることが、他の種にも影響を及ぼし、このように結果として生態系が崩れていくのです。

では、生態系が崩れることによって、私達人間の生活にどのような影響が出るのでしょうか。

現在でもさまざまな地域で人間による自然破壊が起こっていますが、ある種の生物が減少・絶滅しても私達人間の生活に影響が出るわけではないのだから良いのでは、と思う人は多いと思います。

でもそうではないのです。

例えば木々を伐採し森を減少させることにより、洪水が起きやすくなる、逆に熱帯地方では雨が降らずに砂漠化が深刻化していきました。

また、都市化が進むことにより土壌を浄化する役割のある緑が減少し、水質汚染が拡大、伝染病の流行などが起こります。

上記のように草食動物が数を増やすと植物が足りなくなると説明しましたが、そうなるとCO2を吸収する緑が激減し、地球温暖化も加速していきます。

一度壊れてしまった生態系は元に戻るとは限らなくて、元に戻るとしても数百年かかると言われています。

このように人間たちの過ちで、自然を破壊し自らの生活にも影響を与えるのです。

実際に狼を狩り、根絶させた地域でも生態系が崩れさまざまな環境問題が起こっています。

それらを研究している生物学者の間では狼を再び導入し、生態系のバランスを元に戻す取り組みをしている地域もあります。

例えば日本ではエゾオオカミやニホンオオカミが生息していましたが、明治時代に絶滅したと言われています。

すると昭和の末期ごろから山間部においてニホンジカやイノシシなどによる農作物や樹皮に対する食害が起こっています。

狼が絶滅したことにより、食物連鎖の頂点が空位となっているため、このような害獣を駆除する目的で狼の再導入が検討されているようです。 また実際に狼を再度導入し、生態系を取り戻しつつある地域もあります。

アメリカアイダホ州のイエローストーン国立公園では、狼が絶滅したことにより植生に影響を与えました。

食物連鎖の頂点であった狼が絶滅したことにより、捕食動物であったワピチやヨコーテなど他の動物が増加し、これらの動物よりも小さな動物が減少してしまいました。

生物学者は一刻も早い狼の再導入を提案しましたが、家畜が襲われることに懸念する牧場主たちの強い反対もあり、その妥協点を探し出すのに20年かかったそうです。

ですが話し合いを重ねついに狼の再導入が遂行されました。

イエローストーン国立公園から狼が絶滅したのは1926年のことで、その後狼を導入したのは1995年のことです。

狼を再導入後は順調に数を増やしていき、2009年の末にはアイダホ州とワイオミング州、モンタナ州で個体数は約1,700頭になり、イエローストーン国立公園にもおよそ100頭の狼が生息しています。

イエローストーン国立公園では狼を再導入したことにより、生物多様性が増えたと言われています。

ワピチの個体数が減少し、それにより植生が増え、絶滅寸前であった小動物も個体数の増加が確認されたそうです。

狼を再導入するにあたっては牧場主との話し合いの上、狼が家畜を襲った場合、狼によることが確認できた場合には政府から「オオカミ保証基金」によって補償されているようです。

このように狼を根絶したことで生態系のバランスが崩れつつありますが単純に「狼さんもどって来てください」という風にはならない人もいるのは事実です。

日本でも狼が再導入されることが検討されていますが、人間も狼やその地域に住む動物が幸せに暮らせるような環境作りが今後必要になってきますね。

人狼伝説

人狼伝説とは、上記の説明でもありましたが、中世キリスト教で土着の信仰を駆逐するために流した嘘話や古来から信じられてきた伝承のことです。

昼間は人間のような姿をしているけど、夜になると狼になり人間を襲うと言い伝えられていました。

現代では人狼が題材となっている小説や映画があっても、それがフィクションであると認識できますが、人狼伝説のようにヴァンパイアや魔女といったような、空想の存在を昔の人々は信じ、恐れていたのです。

実際に古代ヘロドトスの歴史にあるネウロイ人は1年に1度狼になるという記述や、医学的な記述として紹介されているほどです。

また、旧約聖書ではネブカドネザル王が自らを狼であると想像して7年間苦しむという話もあるようです。

これほどまでに当時の人々は人狼説を信じていたのです。

人狼伝説の起源ともいわれるギリシャ神話では、リュカオンという男がゼウスが神だと知りながらも失礼を働き、それに怒ったゼウスが稲妻で威嚇するとリュカオンが狼に変身するという話があります。

これはゼウスがリュカオンを狼に変身させたのではなく、リュカオンの邪悪な本性が狼の形となって表面化したためだそうです。

このリュカオンを語源としてギリシャでは狼人間を「ライカンスロープ」と呼ぶようになったそうです。

のちに「ライカンスローピー」という病名も生まれたそうです。

この病は自分が獣になったと感じ、獣のように振る舞ってしまうという精神病と言われています。

人狼伝説にもさまざまな話がありますが、多く見られる特徴として、

  • 昼間は普通の人間だが、夜になると狼へと変身する。そして夜が開けると朝日と共に人間の姿に戻る
  • 狼へと変身するのは自らの意思で変身するケースと、満月の夜に満月の光を浴びて自らの意思とは関なく変身するケースの2通りある
  • 満月の光以外にも満月を直接見ることや、魔女に呪いをかけられた人間が狼男へと変身するといったもある
  • 狼男は大概の場合人間を遥かに凌駕する力を持っている
  • 狼男に噛みつかれた人間は同じように狼へと変身してしまう
  • 狼男の足跡に溜まった水を飲むと狼男に変身してしまう(狂犬病に対する恐怖の混合)

などがあげられます。

このようにいずれにしても狼に対して人々は「悪」と同一視していたようです。

一方日本で狼は語源でもある「大神(おおかみ)」という言葉があるように狼信仰が存在していました。

日本書紀には狼のことを「かしこき神にしてもあらわざをこのむ」と記述されているように神格化していたそうです。

狼に近い犬種

狼と犬のDNAはとても近く、それは狼が家畜化され犬へ進化を遂げた証でもあります。

今日、日本でも犬は大変人気のあるペットであり、飼っている人も多くいます。

ここでは、より狼に近いと言われている犬種を紹介します。

「こんな可愛らしいフォルムの小さい犬が本当に狼に近いDNAを持っているの?」と思うほど意外な犬種でも狼に近いDNAを持っているのです。

では、さっそく見ていきましょう。

柴犬

性格

柴犬は古くから番犬や狩猟犬として活躍してきた犬種です。

柴犬は犬の中でも特別独立心が強く、狩猟犬として働く際にも猟師が指示をしない場合でも自ら考えて行動することがあるようです。

その独立心は人間や飼い主に依存しすぎないという特徴があり、野生動物に近い性格なようです。

古くから日本の家庭犬として人々の生活の中にいますが、柴犬は飼い主さんに良く懐きますが誰にでも愛想をよくするような犬ではありません。

そのため知らない人に対しては警戒して吠えることもあり、主人と認めた人間には忠実であり、飼い主さん以外は触ることができない犬と言われているほどです。

猟犬気質で賢くて勇敢な犬ですが、実は環境の変化に弱く、見た目よりもずっと繊細な神経の持ち主です。

運動意欲などを満たしてあげないとストレスをためやすく、問題行動と言われる飼い主さんからすると困った行動を取ることもあるようです。
そのため散歩の時間を増やしたり、散歩の質を高めたりすることが大切です。

洋犬のようにベタベタと甘えてくることの少ない犬ですが、飼い主さんがしっかりとリーダーシップを取ることで従順な柴犬は素晴らしいパートナーとなるでしょう。

特徴

柴犬は日本の天然記念物に指定されている日本犬のうちの1種です。

現在日本で飼育されている日本犬の6種類のうち80%は柴犬が占めています。

遺伝的には古くから血を受け継ぐ現存の古代犬種の1つで、DNAを分析した所、ハイイロオオカミから分岐した犬が柴犬、秋田犬、チャウチャウ、シャーペイなどの青舌マスティフ系だそうです。

縄文時代に南から入ってきた犬と、弥生時代に大陸から入ってきた犬が掛け合わされて柴犬となったそうです。

日本史上では、縄文時代の遺跡から柴犬の直径先祖にあたる縄文柴と呼ばれる犬の骨が出土したように、日本人のそばには近くても紀元前400年頃、遠ければ紀元前1万年くらい前からそばにいたようです。

古くから猟犬として親しまれていましたが、1800年代の終わりに海外から猟犬が輸入されてきたことで、最近では柴犬の純血種は大きく減少しているようです。

近年では日本だけでなく海外でも非常に人気のある犬種で、日本語で「shiba inu」という名前で呼ばれています。

体高や体長がやや長いですが小型犬として分類されています。

小さな立ち耳と巻いた尾っぽ、そして短毛でダブルコートが特徴です。

秋田犬

性格

秋田犬は柴犬と同じ用に狩猟犬として古来より重宝されてきた犬種です。

飼い主さんには忠実で、従順、命令には素直に従うと言われています。

忠犬ハチ公のモデルにもなった秋田犬は、しっかりとしつけをすれば最高のパートナーとなってくれるでしょう。

ですがしつけをしないと攻撃性が高く神経質な性格で、噛み付いたり暴れたりして周囲の人たちにケガをおわせることがあるようです。

一緒に暮らしている家族であっても秋田犬が飼い主さんと認めなければ攻撃的になることもあります。

明治時代には闘犬としても活躍しており、とても勇敢で威厳のある犬です。

それゆえ犬を初めて飼う人にとっては少し難しい部分もあるかと思います。

飼い主さんとの信頼関係を作るためにも運動欲求をきちんと満たしてあげる必要があり1日に1時間以上の散歩が必要です。

また、見知らぬ人への警戒心も強いため、散歩中は人が触ろうとしても安易に手を出さないように注意して上げる必要があります。

これらのことをしっかり守って、しつけをすれば狩猟犬としてだけでなく番犬としても活躍してくれます。

特徴

秋田犬は、国の天然記念物にも指定されている大型の日本犬です。

名前の通り秋田犬では、古来より狩猟犬として重宝しており「マタギ犬」とも呼ばれています。

江戸時代から明治時代にかけて犬同士を戦わせる闘犬として飼育されてきました。

昭和初期になると、秋田犬は洋犬や他の日本犬との雑種化が進み、性格や容姿もバラバラだったようです。

第二次世界大戦が終わるまで、毛皮や軍事犬としても活用されたためさらに頭数を減らし純粋な秋田犬は20頭にも満たなかったようです。

そのため純粋な秋田犬の保存運動が起こりました。

終戦後には日本から海外へ持ち出されることも多くなり、ジャーマンシェパードとの混血種の犬は特にアメリカで人気があったようで、のちの「アメリカン・アキタ」の基礎犬となりました。

足が長く腰高でがっしりとした体型で、体高はオスの場合67cmと大型犬に分類されます。

耳は三角形の厚い立ち耳で、太くてがっちりとした巻いた尾っぽが特徴です。

赤、白、虎タイプの毛色が存在しますが、一番ベーシックなのは赤色です。

被毛は2重に覆われているため寒さに強く暑さにはめっぽう弱いため、暑い時期が長く続く地域で飼うことはあまりおすすめできません。

シーズー

性格

シーズーは穏やかで友好的な性格なため、初めて犬を飼育する方や集合住宅でも飼いやすい犬種と言えます。

とても愛情深く家族のことが大好きなシーズーは、小さなお子さんがいる家庭でも問題なく飼うことができ、家族の一員となることでしょう。
元気に走り回ることもあれば、お家ではのんびりゆったりと過ごすことが多くおっとりとしています。

好奇心旺盛で、初めて合う人にも抵抗なく興味を示すことが多いようです。

シーズーは環境の変化や周囲への適応は高いように見えますが、実は冷静に状況を見て判断する犬種なのです。

そのため飼い始めの頃は、シーズーとの間に距離を感じてしまうこともあるかもしれませんが、飼い主さんとの信頼関係が築けるとすぐに人懐っこい性格を見せ始めるでしょう。

しかし、閉鎖された空間、飼い主さん以外と接しないような空間に長く置いておくと知らない人に対して警戒心を強めてしまうこともあるようです。

できる限り定期的に色々な人や犬と接する機会を作るようにすると良いでしょう。

また、シーズーは犬の中にも特に聴覚に優れているため、不審者の侵入などに敏感に気がつく番犬気質な部分もあるようです。

ですが、社会性の強さゆえ誰にでも懐いてしまって番犬にならないと嘆く飼い主さんもいるようです。

特徴

見た目もコロンとして可愛らしいですが、狼とDNA比較をした時にDNAの配列はとても似ている犬種です。

もともとペキニーズとラサアプソの交配種と言われていますが、誕生からしばらくはラサアプソに分類されていました。

ですが1934年にラサアプソから分離して現在のシーズーとして位置付けされました。

シーズーは17世紀にチベットのダライ・ラマが魔除けとして中国に献上した犬で、漢字で表記すると「西施犬」と言われ、シーズーの音韻は獅子に由来しているそうです。

チベットでは優れた聴覚を利用して僧侶たちの番犬をしていたそうです。

しかし1950年代に中国で産業革命が起きた際には、犬を飼うことは退廃の象徴としてシーズーも多く殺処分されたという悲しい歴史があるのです。

シーズーは体高26.7cm以下で、体重は4.5~7.3kgほどです。

小柄な体型ですが、けして華奢ではなくしっかりとした胴体とたくましい四肢を持っているのが特徴です。

体長は体高よりも少し長いですが、短い脚でコロコロと歩く姿が可愛らしいですね。

また長毛種で被毛がふわふわしているため、飼い主さん好みにトリミングできるのも魅力の1つです。

サモエド

性格

サモエドは優しくて温和で、他人や他の犬にもとても友好的な性格です。

人間を信頼し、家族の一員としてそばにいてくれる存在で、昔にトナカイの群れを管理していた気質が残っており、子供の遊び相手としても理想的です。

とても辛抱強い一面があり、攻撃的な面がほとんどなく、穏やかで社交的なのです。

また、友好的な性格ゆえ人見知りはしないため、番犬としては不向きです。

性格的には飼いやすい犬種と言えますが、サモエドは豊かな被毛があるためグルーミングを怠るとすぐに毛玉が出来てしまうなどの難点もあります。

また寒さに強く暑さに弱いため夏場の健康管理には非常に気を使わなくてはいけません。

さらに留守をすることの多い家庭では、寂しがりなサモエドが退屈してしまうこともあるため、いつも誰かが家にいてサモエドが安心して暮らせる環境が良いとされています。

そしてサモエドの体は強靭なため、散歩にも多くの時間を割く必要があります。

ですが、長い歴史の中で人と共存してきた犬種のため、とても人が大好きで甘えん坊です。

そのため家族として迎え入れたらとても離れがたい存在となるでしょう。

特徴

サモエドは現在のロシアにあたるシベリアのツンドラ地帯で遊牧民と共に暮らしてきた犬です。

別名「シベリアン・スピリッツ」と言い、体型や被毛、そして性質のすべてが典型的なスピリッツ系です。

他の犬との交配もなかったと推定されるサモエドは原始から実に犬らしい犬と言われています。

名前の由来ともなっている「サモエド族」とともに狩猟や漁業をする作業犬としておよそ3,000年以上昔から存在してきました。

サモエド族は、トナカイを食料として放牧している民族で、その中でもサモエドは上記の作業や、トナカイの群れの管理、トナカイを狼から守る番犬、そして熊狩などにも使われていたそうです。

現在のサモエドの被毛はほとんど真っ白でふわふわしている所が特徴でもありますが、実は19世紀に動物学者や南極短径退院の手によってイギリスに持ち込まれた100年ほど前までは、黒や茶色の被毛のサモエドもいました。

ですが、イギリスでは白色が好まれたこともあって現在では白色のサモエドが世の中に多く繁殖されています。

体型は中型犬にしては大きく、体高50~57cm、体重は23~30kgあります。

出身地がロシア北部やシベリアだったため極寒にも耐えられる立派な被毛を持ち合わせています。

そのため暑さに弱い犬種です。

シベリアンハスキー

性格

シベリアンハスキーはキリッとした目とは裏腹に、人にも犬に対してもとても友好的な性格です。

そりを引く犬として活躍してきたこともあり、社会性の強い犬種です。

とても明るく好奇心旺盛で、まっすぐな性格ですが、責任感が強く頑固な一面もあるようです。

飼育する時には、飼い主さんがしっかりとリーダーシップを取り主従関係をはっきりとさせないと、指示に従わないこともあります。

温和で協調性の高い犬種として家庭犬としても迎え入れるのに適していますが、用心深さはあるものの人に対しての攻撃性は低いため番犬には向きません。

そりを引く犬として長時間走ることのできるシベリアンハスキーは、非常に体力があり普段から運動量が必要な犬です。

少なくとも1日に1~2時間ほどの散歩が必要となるため、体力や時間に余裕のある方に向いています。

散歩時はぐいぐいと前へ引っ張るような力も強いため、事故防止のためにはしっかりと飼い主さんがリードを引き散歩する訓練が必要です。

運動量が足りないとストレスが溜まり問題行動を起こすこともあります。

また、集団で生活してきた犬種のため長時間の留守番は苦手で、ストレスとなってしまうことがあります。

特徴

シベリアンハスキーは、名前の通りロシアのシベリア地方を原産とする犬です。

先祖犬はスピッツとされており、容姿が似ているアラスカン・マラミュートとは近縁ですが、犬種として詳しい成立時期は不明です。

見た目も狼に近いことで人気のある犬種ですが、近年の研究結果ではDNAも狼に近いということが分かりました。

人間との歴史も非常に長い犬で、シベリア北東部に住むチュクチ族と共に生活してきました。

そりを引いたり、猟犬として、大切にされてきました。

20世紀になってからアラスカに住んでいたアメリカ人たちがシベリアンハスキーの評判を聞きつけ、ハスキーたちは活躍の場を広げることとなりました。

特に一躍有名になったのは1925年、アラスカの都市ノームで伝染病が大流行した時にハスキー犬がそりを使い実に500km以上の距離を走り、血清と薬を現地へと届けたのです。

日本ではバブル景気の頃、流行しましたが運動量が多く必要なことと、抜け毛が多いことが理由で残念なことに飼育放棄が相次いでしまう状況になってしまいました。

近年では、一定の人気に落ち着いています。

シベリアンハスキーは立ち耳で、極寒の寒さにも耐えられる厚い被毛を持った大型犬です。

体高は53.5~60cm、体重は16~28kgで、被毛だけでなく寒さに耐えられるように皮下脂肪もたっぷり蓄えているのが特徴です。

その他の狼に近い犬種

この記事では狼に近い犬種として、柴犬、秋田犬、シーズー、サモエド、シベリアンハスキーをピックアップして紹介しましたが、他にも狼に近い犬種はたくさんいます。

例えば鼻がぺちゃっとしていて可愛らしい「ペキニーズ」は、狼にとても近いDNAを持っていると言われています。

見た目からは全く想像できませんね。

また現存している中では最も古い犬種と言われている「サルーキー」もやはり狼が犬に進化したということもあって、とても狼に近いDNAを持っているのです。

そして、見かけは人間による選択的な交配に作られたチャウチャウもDNAは狼に近いと言われているのです。

現在世界に存在している犬で、狼に近いDNAを持つ犬は14種類いるそうです。

  • シベリアンハスキー
  • アラスカンマラミュート
  • チベット・テリア
  • バセンジー
  • サモエド
  • サルーキ
  • シャー・ペイ
  • チャウチャウ
  • アフガン・ハウンド
  • ラサ・アプソ
  • シーズー
  • ペキニーズ
  • 柴犬
  • 秋田犬

その中でも狼に近いDNAは、1位柴犬、2位チャウチャウ、3位秋田犬、4位アラスカン・マラミュート、5位バセンジーだそうです。

見た目からするとシベリアンハスキーの透き通るようなキレイな青い目や、骨格がとても狼に類似していると思いましたが、なんと一番近い犬は日本ではおなじみの柴犬だそうです。

もし、狼を飼いたいと思った方はこれらの犬種を選ぶと狼らしさを感じることができるかもしれませんね。

ですが、これらの犬に共通していることってなにがあるでしょうか。

確かに寒い地方でも生き抜いていけるような分厚い被毛があることが特徴ではありますが、性格や体型はマチマチですよね。

さらに原産国もバラバラですし、辿ってきた歴史もバラバラです。

それは犬の先祖であるハイイロオオカミ(タイリクオオカミ)だけでも30種類ほどいたとされるからでしょう。

いずれにしても犬は3万年前から人間のパートナーとして、寄り添い狼からイエイヌへと進化を続けています。

最近の研究論文によると、飼い犬は人間に似たような眉の筋肉を進化させており、それによって顔の表情を自ら作れるということが明らかになったそうです。

その研究によると飼い犬は目の周囲に2つの筋肉が必ずあり、十分に形成されて表情を作り出せるが、狼ではそうではないそうです。

それも人間とのコミュニケーションを図るために発達した筋肉かもしれませんね。

やはり犬は人間のよきパートナーですね。

まとめ

犬がいかにして狼から進化と遂げたのか、そして人間と狼との関係を見てきましたがいかがでしたでしょうか。

古来より狼が人間と共存し、大人しい種類を家畜化したことで「犬」という我々のよきパートナーが誕生したのです。

もし、共存したり家畜化する道を選ばなければ私達が愛してやまない犬は誕生しなかったかもしれませんね。

ですが、そうした犬の先祖である狼は「怖い」「凶暴」「悪の化身」として人間から嫌われているというイメージもありますが、実はとても家族思いの優しい動物なのです。

人間が狼たちの獲物の住み家を奪わなければ人間を襲うこともなく、むしろ友好的な関係を築けたからこそ家畜化され犬へと進化したのです。

しかし、宗教的なイメージや、人間が狼の獲物の住み家を奪ったことにより狼は家畜を襲うようになりました。

そして人間自ら狼を邪魔者として根絶してきましたが、根絶した結果生態系に影響を及ぼし、さらには人間の生活にすら影響を及ぼしたのです。

現在でも地球温暖化や自然災害が各地で起こっていますが、それは人間が自ら引き寄せたことなのかもしれません。

日本でも狼が絶滅したことにより生態系が崩れつつあり、食物連鎖の頂点である狼を再導入するような働きがあります。

今後は人間と狼も共に行きていける世界になると良いですね。

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