気を付けよう犬のヘルニア!手遅れになる前に
椎間板ヘルニアをご存じでしょうか?
腰痛の原因で、多くの人が悩んでいる病気のうちの一つかとい思います。
原因もさまざまあり、若い人から、お年寄りまで誰でもなる可能性があります。
かかってしまうと、座ったり立ったりするだけで痛みを伴い、私生活にも支障が出てきます。
そんなつらい椎間板ヘルニアが、なんと犬もなってしまうのです。
このページでは、椎間板ヘルニアの症状や、犬種別でのなりやすさや、治療法、予防法をご紹介していきます。
犬の椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアとは?
犬もなってしまう椎間板ヘルニアはとてもつらい病気で、症状が重くなると歩くことすら困難になってしまいます。
背骨の骨と骨の間にある、椎間板というクッションの役割を果たす部位があります。
この椎間板が何らかの要因で神経側に飛び出してしまって脊髄(神経)を圧迫している状態を椎間板ヘルニアと呼びます。
腰のイメージが強いかもしれませんが、犬は頚部、胸部、腰部など、さまざまな位置で発症してしまいます。
初期症状ではなかなか気づくことが難しく、最近元気がない、あまり激しい運動しなくなったなど、体調が悪いのかな?と思ってしまうような状況がほとんどです。
ヘルニアだとは気づかず、様子を見ているとどんどん症状が悪化してしまって取り返しのつかないことになることもあります。
脊髄が圧迫された状態が続くと、細胞が壊されてしまうことがあり、壊れた細胞は元に戻ることはありません。
脊髄が損傷すると、融解壊死を起こしてしまう場合があり、壊死が止まらず、症状が進行してしまう進行性脊髄軟化症になってしまうと、最悪死んでしまう可能性があります。
ヘルニアは腰痛などの痛みだけと思っていた人もいるのではないでしょうか?
どんな病気でもそうですが、犬は言葉が話せないので、飼い主さんが異変に気付いてあげることが重要なのです。
原因
加齢・肥満
ヘルニアの原因はさまざまあり、肥満、加齢も原因のうちの一つです。
肥満の場合は、激しい運動や、外傷など体の負担が大きくなった時に発症してしまいます。
健康体なら問題ないことでも、肥満になると、背骨だけでなくさまざまな部分で負担が大きくなります。
ジャンプなどちょっとしたことが拍子で椎間板が脊髄側に飛び出してしまい、脊髄を圧迫してしまいます。
このような突発的にかかるヘルニアをハンセンⅠ型椎間板ヘルニアと呼びます。
加齢の場合は、椎間板の外側にある繊維輪が年齢とともに、変形し、弾力が失われることで、脊髄を圧迫してしまいます。
これをハンセンⅡ型椎間板ヘルニアと呼びます。
どちらもヘルニアではよくある原因なので、注意しましょう。
遺伝
ヘルニアは遺伝からもなってしまう病気です。
軟骨異栄養性犬種という、髄核の水分が抜けて固く石灰化しやすい遺伝性の疾患がある場合は、ヘルニアを発症しやすい犬です。
病気の遺伝子を持っている犬同士で交配すると、同じように病気を発症しやすい犬が生まれ、いつまでも病気が改善されることはありません。
体の特徴でヘルニアになりやすいこともあります。
ダックスフンドは体が長く足が短いというアンバランスな体をしています。
そのため、背骨への負担が大きく、ジャンプをした時や、高いところから降りた時に発症してしまうことがあります。
ダックスフンドの場合は、加齢なども踏まえて気をつけてあげましょう。
症状
グレード1
椎間板ヘルニアにかかると、症状の進行具合で反応が変わってきます。
グレード1の場合は、痛みが出ます。
あまり動こうとせず、患部を触ると痛がります。
機能障害はないので歩けますが、痛むので歩くのを嫌がるでしょう。
グレード1はなんか元気がないな、と思って様子をみてしまう場合もあるので注意が必要です。
グレード1の場合は、外科手術をしなくてもほとんど回復して、歩けるようになります。
グレード2
グレード1の症状が治まって、再度症状が発症した場合はグレード2です。
再発の時期はさまざまで、一週間後から一ヵ月後の場合もあります。
グレード2は多少まひして、かなりの痛みがあるので、歩いているとふらついて、歩きたがりません。
歩く時にナックリングと呼ばれる、足の裏を上にしたような、招き猫が手を招いているような状態で、地面に付くしぐさが見られるようになります。
グレード3
まひの症状が進行してしまい、まともに歩けない状態です。
ちゃんと立つこともできないので、動く時はうしろ足を引きずりながら進みます。
お尻には感覚がなくなってしまいますが、足先はつねった時に痛みを感じるような状態です。
まだ排尿を自力でできますが、症状が進行してしまうとできなくなってしまいます。
グレード3は内科100%、外科95%回復するとされています。
内科療法は、グレード1~3までの治療法で、4、5になると、外科手術が必要となります。
グレード4
グレード4まで進んでしまうと、排尿がまともにできなくなります。
常に膀胱に尿がたまっている状態で、自分の意志とは関係なく排尿してしまいます。
グレード4になると、痛みの感覚も浅部痛覚といって、皮膚など、表面での痛みを感じる機能が低下している状態になります。
足先をつねった時にまだ痛みの反応があればグレード4ですが、感覚がなくなってしまっているとグレード5になってしまいます。
反応を見るのも難しく、経験の浅い獣医師の場合、引き込みという足をつねった時に条件反射で引っ込める行為と間違えてしまう可能性があります。
グレードを誤ってしまうと、回復も遅くなり、二度と歩けなくなってしまうかもしれません。
グレード4まで進行してしまうと、内科療法では回復が難しく、回復率が50%となってしまいます。
ただ、外科手術を行えば90%の確率で回復し、ほとんどの場合1ヵ月程度のリハビリで歩けるようになります。
ステージ5になってしまうと、回復率が一気に下がってしまいます。
愛犬の状況を見て、グレード4のうちに病院に連れて行ってあげましょう。
グレード5
グレード5まで症状が進行してしまうと、回復率が一気に下がります。
内科では7%、外科手術で50%となってしまいます。
グレード4までは、つねるなどに対して痛がる反応がありますが、グレード5になってしまうと、ほとんどまひしてしまって、つねっても反応しなくなってしまいます。
この状態を深部痛覚といい、骨など体の中の部分の痛みに対して、機能が低下している状態になります。
1978年出版にB.F.Hoerlein博士が出版したCanine Neurology Third Editionの中で、グレード5の深部痛覚の状態になってからは48時間以内に手術を行わなければならないと発表しました。
そのため、多くの獣医学書にはグレード5のヘルニアを発症した場合は、48時間以内に手術が必要と記載されているそうです。
しかし、最近では、48時間ではなくなるべく早く手術を受けさせ、なるべく24時間以内が望ましいとされています。
24時間以内だったとしても、成功率は50%となっています。
※手術の成功率はアサヒペットクリニックさんのページを参照しています
椎間板ヘルニアになりやすい犬種
椎間板ヘルニアは、どんな犬でも、老化や何かの拍子に発症してしまう可能性があります。
そして、椎間板ヘルニアは腰の負担が大きいほどなりやすい病気でもあります。
犬の種類によっては発症しやすい犬種もいます。
ここでは、椎間板ヘルニアになりやすい犬種の特徴と、他に発症しやすい病気をご紹介します。
ミニチュアダックスフンド
特徴
ミニチュアダックスフンドは狩猟犬として品種改良され、非常に好奇心旺盛で、勇敢な犬種です。
もともとは、16世紀の頃からドイツでアナグマを狩猟するのに活躍していました。
アナグマは、巣穴に住んでいるので、足の長い犬種や、体の大きい犬種だとなかなか狩猟できませんでした。
ダックスフンドはアナグマを狩猟するために足を短く改良されて、巣の中まで入っていけるようにしました。
その後、小型化が進み、ウサギやイタチなどの小さい動物を狩猟できるようになりました。
狩猟犬だったので、何かを追いかけることが好きで、筋肉質で運動量も多い犬種です。
今は愛玩犬として多くの人に飼われていますが、今でも穴を掘ったり、獲物を探して臭いを嗅いだりするなどの習性が残っています。
ダックスフンドはスムースヘアー、ロングヘアー、ワイヤーヘアーと3種類いて、毛質でも性格に違いがあります。
スムースヘアーは、一番スタンダードなダックスフンドで、毛が短く、好奇心旺盛で、明るく活発で、遊ぶのが大好きです。
ロングヘアーは、温厚でフレンドリーで甘えん坊な気質があり、ペットに向いています。
ワイヤーヘアーはごわごわとした毛質が特徴的で、テリア系の気性の荒い種と交配させたことから、攻撃的で、気が強く、頑固な性格をしています。 主従関係がしっかりと築ければ、素晴らしいパートナーとなってくれます。
かかりやすい病気
ダックスフンドがかかりやすい病気の代表は椎間板ヘルニアでしょう。
足を短く、胴体を長くした結果、体のバランスが悪く椎間板ヘルニアになりやすくなってしまいました。
目の病気にもかかりやすく、遺伝的に進行性網膜萎縮症(PRA)になりやすいとされています。
進行性網膜萎縮症(PRA)は目の奥の網膜が委縮して、光など感じにくくなり、症状が悪化すると失明してしまう病気です。
原因はわかってなく、現在でも予防、治療方法がありません。
他にも、白内障、角膜ジストロフィーなど目の病気にかかりやすいと言われています。
黒とグレーのまだら模様のダップルと呼ばれる種は、難聴をよく発症します。
呼んでも反応がなくなってきた場合には注意が必要です。
ウェルシュコーギー
特徴
ウェルシュコーギーはイギリスのウェールズ地方が原産で、小人犬という意味を持ちます。
妖精の馬車を引いていたという伝説や、小人が飼っていたなど由来はさまざまあります。
もともと牧羊犬として飼われていて、頭が良く、機敏で活発的な性格です。
被毛はダブルコートで固く長い毛と、短めの下毛におおわれています。
牧羊犬だったので、家畜に尻尾を踏まれないように断尾をする犬種です。
2007年にイギリスの法律で断尾が禁止されたことがきっかけに、多くのブリーダーが交配をやめてしまい、2013年には絶滅危惧種に指定されるまで数を減らしてしまいました。
しかし、2018年には、数が増加傾向にあり、絶滅危惧種から除外されたのです。
なぜかというと、イギリスのエリザベス女王はコーギーが大好きで、ペットとして飼っていたことから人気が出たとされています。
Netflixで放送されていたエリザベス女王を題材としたザ・クラウンも影響があったのでは?と言われているそうです。
賢く従順で、かわいいコーギーが絶滅しなかったのは、エリザベス女王のおかげなのです。
かかりやすい病気
ウェルシュコーギーも、足が短く胴が長いのが特徴なので、背骨の負担が大きく椎間板ヘルニアになりやすい犬種です。
コーギーが良くなる病気で怖いものは変性性脊髄症です。
変性性脊髄症は、2~3年かけてゆっくりと脊髄がマヒしていく病気で、痛みを伴わないのですが、後ろ足からマヒし始めて、だんだん上に上がってきて呼吸器までマヒしてしまい、最終的には呼吸ができなくなって死んでしまいます。
遺伝的な病気とされていて、予防や、治療法がまだありません。
股関節形成不全もコーギーによくある病気で、生まれつき股関節が不安定で、歩く時に足を引きずったり、うさぎ跳びのように歩いたりします。
ほとんど遺伝的な病気なので、飼う前に親犬などの健康状態が確認できるブリーダーから購入した方がいいでしょう。
シーズー
特徴
モフモフの毛並みに、小柄で穏やかな性格をしています。
遊ぶことが大好きなので、運動させると活発で、元気いっぱいに走りまわります。
非常にフレンドリーな性格から、ペットとしては飼いやすい犬種のうちの一つです。
誰にでもなつく性質ですが、警戒心が強い一面もあります。
初めて会った時にはうなられるなど、警戒されることもあるでしょう。
攻撃的ではないので、よっぽどの事がないと噛まれることはないでしょう。
シーズーはチベットが起源で、魔除けの犬として、中国に献上され、王朝で長年飼われてきました。
名前は空想上での獅子に由来し、日本では狛犬のモデルとなったことでも知られています。
かかりやすい病気
シーズーも椎間板ヘルニアになりやすいので、激しい運動などには注意が必要です。
他にも、アトピー性皮膚炎や、アレルギー性皮膚炎などかかりやすくなっています。
どちらの皮膚炎も、遺伝的に発症しやすいそうで、発症した場合には、すぐに処置をするようにしましょう。
アトピー性皮膚炎は、完治することがないので、なるべく症状を抑えてあげて、犬にとって快適に過ごせるように心がけて下さい。
シーズーのような頭蓋骨の長さに比べて鼻の長さが短い犬は、短頭種気道症候群が発症しやすい病気です。
頭蓋骨や、鼻の構造上、夏など暑い日や、激しい運動をした時に気道の入り口圧迫してしまい、呼吸困難になってしまう場合があります。
寝ている時にいびきをかいたり、運動を嫌がったり、暑い日に呼吸が荒くなったりしたら要注意です。
肥満の時に発症するリスクが高くなるので体調管理に気を付けましょう。
コッカースパ二エル
特徴
イギリスを起源とした犬種で、狩猟犬として飼われていたので、筋肉質な体をしています。
性格は明るく、おおらかで、好奇心旺盛、警戒心が少なく人懐っこい性格をしています。
遊びも大好きなので、活発的です。
食いしん坊で、太りやすい性質でもあるので、肥満には注意が必要です。
コッカースパ二エルはスペインを原産とし、イギリスに持ち込まれてイングリッシュ・コッカースパニエルとなります。
コッカーはヤマギシという鳥のことを意味し、イギリスではもっとも小さい猟犬として飼われていました。
1620年にメイフラワー号に乗ってアメリカに渡った2頭の犬のうちの1頭がイングリッシュ・コッカースパニエルで、アメリカで新たに交配した時にアメリカン・コッカースパニエルが誕生しました。
その後は愛玩犬として改良されて、今のような形態へと変化していきました。
かかりやすい病気
椎間板ヘルニアはコッカースパ二エルも発症しやすいと言われています。
コッカースパ二エルは耳をよくかく癖があり、かく時にケガをしてしまい、外耳炎も発症しやすいと言われています。
外耳炎が慢性化してしまうと、内耳炎になってしまう場合もあります。
耳をかかないように耳垢などがたまっていないか、耳のケアをよくしてあげましょう。
先天性激怒症候群という突然攻撃的になる症状があります。
これはしつけなどの問題ではなく、脳の病気で、発症している時には意識がないとされています。
治療法などは確立されていませんが、抗てんかん薬で症状が治まることがあるそうです。
ペキニーズ
特徴
ペキニーズはまるで猫のような性格とされるくらい、独立心が強く、頑固な性格で、飼い主さんに依存することがありません。
勇敢で負けず嫌いな面もあり、ケンカになっても引きませんが、他の犬にケンカを売るようなことはしません。
人見知りの性質もあるので、家族以外ではなかなか懐くこともありません。
ペキニーズは北京の犬という意味で、祖先はチベットのチベタン・スパニエルと言われています。
ペキニーズは中国の王朝でのみ飼うことが許されていたとされていて、富と権力の象徴として扱われていました。
どれほど愛されていたかというと、皇帝の葬儀の時に、棺を墓まで導く役目を与えられていたほどです。
シーズーはこのペキニーズとラサ・アプソとの交配によって誕生したとの記述が残っています。
ペキニーズは中国の王朝のみで飼われていましたが、1860年にアヘン戦争でイギリスに負けた時に、宮廷に残されたペキニーズをイギリス軍が持ち帰り、ビクトリア女王に献上したことにより世界に広まります。
始めはイギリスの貴族のだけで飼われていましたが、ドッグショーなどに出て世間に広まり、その後世界中に広まることとなったのです。
かかりやすい病気
ペキニーズも足が短いという特徴からヘルニアを発症しやすくなっています。
短頭種気道症候群も、ペキニーズのような頭蓋骨の長さに比べて鼻の長さが短い犬種はなりやすい病気なので注意が必要です。
短頭種気道症候群は、暑い時や、運動の時など激しい呼吸が必要な時に、気道の入り口圧迫してしまい、呼吸困難になってしまう病気です。
運動をしたがらない、いびきをかくなどの症状がある場合にはすぐに病院に連れて行きましょう。
老化などが原因で発症する白内障にもかかりやすく、目が大きくクリクリしているのが特徴ですが、その分ぶつけたりケガをしやすかったりして、目の病気になってしまうことがあります。
歩く時によろよろしていたり、よく何かにぶつかったりするようなら白内障の可能性があるので、病院に連れて行くようにしましょう。
フレンチブルドッグ
特徴
非常に利口で愛想がよく、穏やかな面と、活発で機敏な面とあります。
温厚で甘えん坊な性格もあり、子供がいる家族にも人気の犬種です。
家族といることが大好きで、一緒に遊んだり、お昼寝したりすることで幸せを感じています。
ただ、牛追い犬とテリアの血が入っていて、畜殺犬だったこともあり、気性が荒い子もいます。
怒ると見境なく噛みついてきます。
個体により性格も違うので、注意が必要です。
フレンチブルドッグの起源はさまざまありますが、ブルドックにチワワや、テリアを交配させて作ったとされています。
また、1835年に闘犬が禁止された時にブルドッグを小型化し、温厚な性格にするために、フレンチブルドッグと交配させたそうです。
愛玩犬として流行る前は、パリでネズミ取り用として飼われていましたが、その愛らしい見た目から人気になり、愛玩犬としての地位を築いていきました。
かりやすい病気
フレンチブルドッグも、椎間板ヘルニアや、短頭種気道症候群になりやすい犬種です。
足が短い犬はどうしても体のバランスが悪いので、激しい運動をした時に背骨に負担がかかってしまって椎間板ヘルニアになってしまいます。
短頭種気道症候群も、頭蓋骨の長さに比べて鼻の長さが短い犬種はどうしても発症しやすくなってしまいます。
どちらも遺伝的になりやすいので、病気の症状を見つけたらすぐに病院に連れて行くようにしましょう。
フレンチブルドッグは熱中症にもかかりやすいと言われています。
フレンチブルドッグは呼吸器が弱く、呼吸が苦手なため、熱を体からうまく逃がすことができずに熱中症にかかってしまいます。
お散歩や、運動をさせている時には十分注意してみてあげましょう。
ビーグル
特徴
ビーグルはとても活発で、いたずら好きです。
いくつになってもじっとしていることができずに常に走り回っています
性格はとても人懐っこくてマイペースで、飼い主さんに呼ばれても遊びに夢中になって聞こえていないこともあります。
狩猟犬だったこともあり、非常に吠えることが多く、犬の中でも一番無駄吠えが多いとされています。
イギリスが原産で、先祖はウサギ狩りに用いられていたハウンドという犬種です。
フランス語で「小さい」を「ベーグル」と呼ぶことから、ビーグルと呼ばれるようになりました。
体が小さいので、足場が悪い場所でもカバンなどに入れて連れていけたので、重宝されたといいます。
狩猟犬だったため、とても嗅覚が優れていて食べ物に対する執着があります。
食べるからといってフードを与えすぎると肥満になってしまうので注意が必要です。
かかりやすい病気
ビーグルは運動が大好きなので、体をねじるなど激しい運動をして椎間板ヘルニアになってしまうので、運動させる時には注意が必要です。
ビーグルは遺伝的にピルビン酸キナーゼ欠損症にかかってしまうことがあります。
ピルビン酸キナーゼ欠損症は、ピルビン酸キナーゼという酵素が足りなくなり、赤血球が破壊されてしまい貧血になる病気です。
遺伝的な病気なので、現在予防法、治療法はありません。
骨形成不全症という、骨盤が成長せずに、間接に異常が起こり、歩行が難しくなる病気です。
子供の頃は分かりにくく、大人になると、よたよたとした歩き方で分かることがあります。
症状が進行すると痛みを伴うようになり、骨密度も低下して、骨折しやすくなってしまいます。
これも遺伝からくる病気なので、予防や治療法が確立されていません。
軟骨異栄養性犬種とは?
今回椎間板ヘルニアにかかりやすい犬種として紹介したミニチュアダックスフンド、ウェルシュコーギー、シーズー、コッカースパ二エル、ペキニーズ、フレンチブルドッグ、ビーグルは先天的に椎間板ヘルニアになるやすい「軟骨異栄養性犬種」とされています。
軟骨異栄養性犬種の場合は、2歳ころまでに、椎間板から水が出てしまい、ゼリー状のはずの髄核がチーズくらいの硬さに変化してしまい、衝撃を吸収できなくなってしまいます。
同時に椎間板の周りにある線維輪も弱くなってしまい、何か衝撃が加わると、線維輪が破れて椎間板が飛び出しやすくなってしまうのです。
この場合にヘルニアはハンセンⅠ型のヘルニアで、何かの衝撃や外傷などにより椎間が脊髄側に飛び出てしまい、圧迫して痛みやマヒを起こす病気です。
ハンセンⅠ型はどんな犬種でもなる可能性があり、症状が進行してしまうと歩けなくなってしまうこともあるので、ヘルニアの症状を見つけた時にはすぐに病院に連れて行きましょう。
症状が軽い場合にはたいがい歩けるまで回復します。
軟骨異栄養性犬種の場合は、このハンセンⅠ型にかかりやすいのです。
ハンセンⅡ型は老化が原因で起こるヘルニアです。
加齢とともに線維輪が大きくなっていき、徐々に脊髄を圧迫していき、だんだん症状が悪化していきます。
大型犬の方が発症しやすいとされていますが、どの犬種でも発症する可能性があるので、愛犬の様子をよく見てあげて、早めに対処してあげましょう。
どちらの椎間板ヘルニアも、どの犬種でもなってしまう可能性があります。
軟骨異栄養性犬種の場合はハンセンⅠ型のヘルニアにかかってしまう可能性がとても高くなっています。
どちらの場合でも、腰あたりを触ると痛がる、運動しようとしない、足を引きずるなどの症状があります。
椎間板ヘルニアは発見が遅れれば遅れるほど治る可能性が下がってしまいます。
逆に早期発見ができればほとんどの場合、完治して普通に歩けるようになります。
普段の歩き方など良くチェックしておいて、ちょっとでもおかしいと感じた時にはすぐに病院へ連れて行ってあげましょう。
治療法
外科治療
椎間板ヘルニアの治療法には内科療法と、外科手術と2つあります。
椎間板ヘルニアにはハンセンⅠ型とⅡ型があり、それぞれ原因は違いますが、どちらも脊髄を圧迫することで、痛みやマヒの症状を起こし、最悪歩けなくなってしまう病気です。
症状には1~5までグレードがあり、数字が大きくなるほど症状が重くなっていきます。
ほとんどの場合、1~3までは外科手術が必要なく、内科療法で治療を行いますが、4~5になってしまった場合に外科手術が必要になってきます。
グレードが4の場合は外科手術を行えば、ほとんど歩けるようになるのですが、5まで進行してしまうと治る確率が50%台まで下がってしまいます。
それも、症状を発症してから24時間以内に手術を行った場合は50%となり、それ以降になってしまうと治る見込みがなくなってしまいます。
外科手術を行う時はどちらでも、脊髄を圧迫している原因を取り除く手術になります。
ハンセンⅠ型の場合、ジャンプをしたり、激しい運動したりしたなど、なんらかの拍子に椎間板が脊髄のある方へ飛び出してしまい、精髄を圧迫することで発症します。
発症したばかりの頃は触ると痛がる、運動を嫌がるなど、一見判断つかないのでしばらく様子を見てしまうことがあります。
あまり様子を見ているとだんだんと症状が悪化してしまう可能性があるので注意が必要です。
手術をする時は、MRI検査を行い、どの位置で椎間板が脊髄を圧迫しているのか特定します。
特定ができたら、患部を開き、背骨を削り椎間板の飛び出している部分を切除して体外に摘出します。
グレード4で手術をした場合には早ければ1ヵ月くらいで歩けるようになりますが、グレード5だった場合には2~3ヵ月ほどかかることがあります。
ハンセンⅠ型は突如病気になりますが、ハンセンⅡ型の場合は加齢とともに発症します。
加齢で繊維輪がだんだんと厚くなることで、脊髄を圧迫して痛みやマヒを起こします。
ハンセンⅠ型と違い気づきにくいという点がありますが、犬の反応は同じものなので、痛がるような素ぶりを見せるようなら、病院に連れて行ってあげましょう。
ハンセンⅡ型の外科手術は、背骨を削り、大きくなって脊髄を圧迫している繊維輪をできるだけ除去する手術です。
どちらの場合でも、早期発見、早期治療が必要不可欠になります。
早ければ早いほど治る可能性も高く、リハビリ期間も短くなります。
愛犬の健康管理はしっかりと行いましょう。
内科治療
椎間板ヘルニアの症状が浅い場合には手術をしないで、内科療法でも治療が可能です。
ヘルニアの症状のグレードが1~3の場合は内科療法で十分で、手術をする必要はありません。
4~5になってしまうと内科療法での成功率が大幅に下がってしまい、ほとんどの場合は外科手術が行われます。
内科療法の場合はビタミン剤や、鎮痛剤など処方してもらい、なるべく運動をさせないようにします。
飼っているケージもぎりぎり立てるくらい低くし、動き回らないように狭くします。
クレートがある場合には日々クレートで生活させましょう。
動くのはトイレに行く時くらいにしましょう。
鎮痛剤はあまりに痛がる場合にのみ使用するようにしましょう。
鎮痛剤を使って痛みを弱くしてしまうと、何事もなかったかのように動き出してしまいます。
あまり動いてしまうと、脊髄への損傷が大きくなり、症状が悪化してしまいます。
内科療法の場合、治るまでの期間は長く、4週間~6週間くらいかかります。
壊れてしまった繊維輪が修復するのにそれくらいかかるのです。
他にも、赤外線レーザーや、針治療を行うところなど、病院によって治療法が異なります。
内科療法の場合はどの治療法もあくまで、痛みを和らげ、繊維輪の修復を待つ治療になり、不要な部分を摘出するわけではありません。
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予防法
食事
肥満は厳禁
犬の椎間板ヘルニアを予防するには食事の与え方が大事です。
良く食べるからと与えすぎると肥満になり、ヘルニアになりやすくなります。
肥満になると、体重が増えて運動した時の背骨の負担が大きくなってしまいます。
特にジャンプや、ソファなどから飛び降りた時に体が重いとかなりの負担がかかってしまうことでしょう。
肥満になると心臓への負担も大きくなります。
体重が増えて行くと、血管もおおきくなり、流れる血液の量も増えるので心臓の負担が大きくなります。
若いうちはまだ、まともに機能するのですが、老犬になると筋肉が弱くなり、心臓の弁が閉じなくなり、血液が逆流してしまうこともあります。
糖尿も肥満からなる病気のうちの一つです。
糖尿病になると、インシュリンが正常に分泌されなくなるので、毎日注射を打つ必要があります。
糖尿病になってしまい、インシュリンを打つようになると、犬は1~2年くらいで死んでしまいます。
糖尿病の場合は、水をよく飲むようになり、おしっこによく行くようになります。
食べているのに痩せてきている場合は糖尿病の可能性が高いので病院に連れて行ってあげて下さい。
肥満は肝臓の病気も発症しやすくなります。
肥満の状態だと、肝臓の代謝が間に合わなくなり、脂肪がたまって脂肪肝になってしまいます。
脂肪肝のまま肥満を続けていると、肝細胞がすべて脂肪に置き換わってしまい、肝臓は小さく固くなってしまいます。
この状態を肝硬変と呼びます。
肝硬変にかかると、食欲がなくなり、下痢や嘔吐をするようになり、肌の色が黄色くなっていきます。
肝硬変の末期状態になると、昏睡状態となり、死に至ります。
このように非常に怖い肥満ですが、簡単に見分ける方法があります。
それは肋骨を触ってみることです。
健康体の犬の場合は、肋骨を外から触れますが、肥満になっている場合は、肋骨の前に脂肪があり、肋骨が触りにくくなっています。
最近太ったかな?と思った時には肋骨を触って確かめてみましょう。
バランスの良い食事
犬は基礎代謝がもともと高いため、運動ではなかなか痩せることはありません。
肥満の一番の原因は食べ過ぎです。
うちの子は良く食べるからいっぱいあげると言っている人がたまにいますが、犬は出されたら出されただけ食べてしまいます。
おねだりされるからとフードを与えていると、肥満になってしまいます。
肥満の原因は、食べ過ぎる犬ではなくて、与えすぎている飼い主さんにあるのです。
フードを与える時にはカロリーを考えて与えるようにしてあげましょう。
バランスのいい食事を心がけることで、犬の体を強く作ることができます。
フードの種類や含まれている栄養を考えて、太らないものを選んであげましょう。
肥満にならないようにバランスのいい食事を心がけることは、病気の予防にもつながります。
犬のためを考えて、食事の与え過ぎには注意しましょう。
抱っこのやり方
普段何気なく犬を抱っこしていると思います。
駆け寄って来た時など、思わず抱きかかえたくなりますよね。
しかし、抱っこはやり方によっては犬に大きな負担になってしまう場合があるのです。
人の赤ちゃんを持ちあげる時に、よくわきの下を持って持ち上げることがあると思います。
犬にも同じように持ち上げて、下半身がぶらぶらしている状態を作ってしまうと、腰などに大きな負担がかかってしまい、椎間板ヘルニアになってしまうこともあります。
仰向けに抱っこをするのも犬にとっては自然なことではありません。
人の場合は仰向けにして、背中やお尻をささえて抱っこしますが、犬は仰向けになると、心臓や肺に負担がかかり、長く続くと呼吸困難になってしまう可能性があります。
抱っこをする時は、フセや、オスワリをしている状態で抱っこしてあげるようにしましょう。
抱き方として、下から前足の後ろあたりに腕を入れます。
もう片方の手は後ろからお尻を抱え込むようにして持ち上げてあげましょう。
嫌がる場合や、安定しない場合は危険なのでおろしてあげましょう。
段差に注意
階段
家の中にはさまざまな段差があると思います。
我々人間にとっては、階段やソファなどはたいした段差ではないのですが、犬にとってはとても大きく、ケガの原因にもなってしまいます。
家の中にある段差といえば階段でしょう。
大型犬の場合は自分で上り下りができる場合もあります。
散歩でも、階段のある道があり、大型犬なら一緒の上り下りができます。
しかし、小型犬の場合は階段の上り下りができません。
小型犬にとってみれば階段は自分の大きさと同じくらいの高さになることもあります。
どうしても階段を使って移動が必要な場合には抱っこしてあげましょう。
普段の生活では、犬が階段を使用する必要がないようにしてあげて下さい。
階段が使える犬だったとしても、階段が滑りやすい場合があるので注意が必要です。
滑って転げ落ちてしまうと大きなケガを負ってしまいます。
犬が使っても滑らないように滑り止め用のマットなど敷くようにしましょう。
ソファ・ベッド
リビングにソファがある場合は、座っていると愛犬が寄って来るので、抱え上げて一緒にテレビを見たり、横に座らせたりしている人もいると思います。
ただ犬にとって、ソファの段差はかなり大きな段差になります。
そのままソファから飛び降りてしまったら椎間板ヘルニアなどの原因になります。
しつけができていないのならば、むやみソファにあげないほうがいいでしょう。
ベッドも同様です。
犬と一緒に寝ている人もいると思いますが、小型犬の場合はベッドから飛び降りてしまうと、ケガの原因になります。
飛び降りても大丈夫なように下にクッションをおくなどして、犬にケガがないようにしましょう。
ドッグステップを使用しるのもいいでしょう。
ソファやベッドの端などにつけて、犬が安全に上り下りできるようにしてあげるのです。
ドッグステップを使用すれば、ケガを予防できるでしょう。
無理な姿勢
犬は4本脚が地面ついている状態が自然な状態で、横向きになっていることで、体の負担が少なくなります。
体が縦になっている状態は望ましくありません。
犬はおねだりをして2本脚足で立ち前足で飼い主さんにしがみついてくることがあります。
その状態だと実は体に大きな負担がかかっているのです。
かわいいからといって何度もやらせたり、くせにさせたりしてしまうと、腰の負担が大きくなり椎間板ヘルニアになってしまうことがあります。
抱きかかえる時も同様です。
体が縦になるように抱っこしてしまうと犬には負担になります。
仰向けに抱っこする時も同じです。
繰り返し行うことで、負担はどんどん大きくなり、ケガをしてしまうことがあります。
運動している時にも、体をねじるなど、負担が大きい動きには注意が必要です。
まとめ
椎間板ヘルニアはどんな犬でもなってしまう病気です。
犬種によってはなりやすい場合もあり、飼い主さんの知識や注意力が重要です。
なってしまった場合には、すぐに病院に連れて行って処置をしましょう。
椎間板ヘルニアは、早期発見が重要になります。
早期発見ができれば、ほとんどの場合治って普通に歩くことができます。
しかし、発見が遅れた場合には症状が進んでしまい、歩けなくなってしまう場合もあるので注意が必要です。
原因もさまざまあります。
ただ元気に跳ね回っているだけでもヘルニアになってしまいます。
特に肥満はよくありません。
肥満でいるだけで椎間板ヘルニアだけでなく、さまざまな病気にかかり、最悪死んでしまいます。
高いところから飛び降りるだけでもヘルニアになってしまいます。
たいがいのことは、飼い主さんが気をつけてあげることで防ぐことができます。
ヘルニアについて正しい知識を持って、犬がヘルニアで苦しまないようにあげましょう。