愛犬には生肉を!生肉のススメ!
「犬に生肉って与えてもいいの?」
「犬に生肉は与えるべき?」
生肉に関するこんな疑問。
最近は愛犬に生肉を与える家庭も増え、ネットでも見かける機会が増えてきました。
しかし実際のところ、生肉を与えることに不安があり、躊躇している飼い主さんも多いかと思います。
生肉は、はたして犬の体にどのような影響をもたらす食材なのでしょうか。
今回は生肉について、犬にもたらすメリット・デメリットや、与える際の注意点などを詳しく解説していきます。
犬に生肉を与えるのってOK?
犬にとって生肉は最高
実は、生肉は犬にとって最高の食材と言えます。
もともと肉食動物だった犬は、かつて狩りをして生肉を食べていたので、現在でも生肉を食べることに問題はないのです。
生肉を与えるようになってから健康になったという話もあるほどです。
生肉には酵素やビタミン、ミネラルが豊富に含まれ、免疫力のサポートやアレルギー予防に効果的な食材とされています。
免疫力は全身の健康維持に欠かせないので、それをサポートする作用は非常に重要でしょう。
犬の消化器官の構造
もともと肉食動物である犬は、生肉を消化するのに適した構造となっています。
そのため腸の長さが、約3mほどしかありません。
植物を主食としている草食動物、牛の場合は約40mの腸を持っています。
これは時間をかけて植物をしっかり消化できるように、長くなっているのです。
それに対し、腸が3m程度しかない犬は植物の消化が苦手です。
反対に、生肉のような動物性タンパク質の消化・吸収に適した構造となっています。
そもそも犬の先祖は狼
そもそも、犬の先祖は狼です。
狼は群れで過ごし、狩りを行って獲物の肉を食べていました。
食べるものがないときには、人間の生活圏に降りてきて家畜や残飯を食べることもあったようです。
しかしもともと自然界で暮らしていたので、人間の残飯以外では加熱や加工されたものを口にする機会はありません。
犬も野生生物だったころは、このような狼と同じような生活をしていたでしょう。
人間と生活するようになって雑食へと変化してきましたが、現在でも野生だったころのなごりで生肉の消化に適した体のつくりになっているのです。
ただ家庭で普段ドッグフードを食べている子に、いきなり生肉を与えるとお腹を壊すことがあるので徐々に慣れさせる必要があります。
生肉を与えるメリット
酵素
生肉には、健康維持に必要不可欠である「酵素」が含まれています。
酵素はドッグフードには含まれていないので、生肉で摂取するのが最適な方法とされています。
酵素には消化酵素、代謝酵素、食物酵素の3種類がありますが、生肉など食べ物に含まれているのは食物酵素です。
食物酵素は体内に入ると、消化酵素のサポートを行います。
消化酵素はもともと体内に存在する酵素ですが、代謝酵素に回すために大量に消費されます。
消化酵素が不足した状態になると消化がうまくいかないことも考えられます。
しかし食物酵素が消化酵素のサポートをすることで、効果はそのままに消化酵素を温存できるのです。
体内に存在する酵素の温存ができれば、代謝が上がるので健康効果も期待できるでしょう。
ビタミン・ミネラル
ビタミンやミネラルも豊富に含まれています。
生肉を食べ、そのまま栄養素を摂ることで消化吸収がスムーズに行われます。
ビタミンは皮膚や目を正常に保ったり、足りないビタミンを補ったりしてくれます。
またミネラルも様々な効果があり、骨や関節を丈夫にする、免疫を正常に保つなどの効果が期待できるでしょう。
免疫力アップ
生肉を食べることで免疫力の向上につながると考えられます。
良質な動物性タンパク質をスムーズに消化吸収すると、消化にエネルギーを使いすぎなくて済みます。
その分、代謝酵素に回せるので代謝が上がります。
代謝が上がると免疫力も向上するので、病気にかかりにくい体を作れるのです。
皮膚・毛づや
犬の皮膚や毛づやの状態は、日々の食事に影響されます。
生肉に含まれる新鮮なタンパク質や、脂肪分は皮膚や被毛にとって重要な栄養素です。
脂質に含まれる必須脂肪酸が不足してしまうと、皮膚病を起こしやすくなったり、毛づやにも悪影響が現れたりなどの様子が見られます。
体の中から健康にすると、皮膚や毛づやといった外見の健康にもつながるのです。
口内環境改善
愛犬の口臭について悩む飼い主さんも少なくありません。
犬の口臭は、主に歯周病菌が原因となって引き起こされています。
これは歯垢が多くつくことで引き起こされます。
口臭改善にも生肉がおすすめです。
生肉には酵素や良性菌といった、口内環境を改善する栄養素が豊富に含まれています。
噛むことで歯垢を付きにくくする効果もあるので、口内環境の改善には非常に役立ちます。
生肉を与えるデメリット
保存が難しい
健康的なメリットが多い生肉ですが、デメリットもあります。
まず生肉なので、保存するのが大変なのです。
脂安全に食べさせたい場合、冷蔵保存だと3~4日以内にすべて使い切る必要があります。
日が経って傷んだものは、犬のお腹の調子を壊す危険があるので与えてはいけません。
冷凍保存すれば、長く保存できますが肉の種類によっては、使用する分だけの解凍が難しい場合もあるのです。
最近では犬用に小分けにされた生肉の販売も増えてきているので、それを購入するのもおすすめです。
使う分だけ取り出し、あとは冷凍できるので保存も少し簡単になるでしょう。
コスト
新鮮な生肉は、それ相応の価格設定がされています。
愛犬のために良い肉を選ぼうと思ったら、それなりに費用がかかることを把握しておきましょう。
生肉1㎏あたり約1,500~3,000円ほどで考えると、1日1食生肉をメインに与えようとすれば、週間ですぐ10,000円を超えてしまいます。
これは普通にドッグフードを与えるのと比べると、何倍もの費用がかかってしまうのです。
ただドッグフードにも生肉をメインに使った、プレミアムフードという少し高いフードが出ているので、一概に生肉のほうが費用がかかるとは言い切れません。
しかし日常的に生肉を与えていると高額な費用がかかるのも事実です。
まずは週に1~2回ほど、生肉をメインで与える日を作ったり、普段食べているフードに少量トッピングとして使用したり、飼い主さんにとっても無理のない程度で与えるのが良いでしょう。
犬に与えて良い生肉の種類
生肉は保存やコストの面で飼い主さんにとっては多少の負担がかかるかもしれませんが、犬にとっては健康面で大きなメリットのある食材です。
生肉といっても牛肉や馬肉、鹿肉など様々な種類があります。
この項では犬に与えても良い生肉の種類を紹介します。
牛肉
牛肉にはタンパク質や亜鉛、コエンザイムQ10、カルニチンなどの栄養素が含まれています。
■タンパク質
特にタンパク質は非常に重要です。
犬の筋肉や骨、血液、内臓、皮膚、被毛、免疫細胞などを作るのに必要な成分で、生命維持には欠かせません。
■亜鉛
ビタミンB群と一緒に働き、肝臓機能を高めます。
犬の皮膚や被毛を健康に保つ効果があり、不足すると皮膚疾患や被毛のパサつきが見られます。
他にも食欲不振や免疫低下、脱毛などが現れる場合も。
■コエンザイムQ10
強力な抗酸化力を持つ栄養素です。
血管の若返りや、白血球の機能サポートがあるとされています。
■カルニチン
余分な脂肪を燃焼させる働きがあります。
肝臓に疾患を抱えている犬には控えたほうが良いかもしれません。
生で与える場合、腐敗や食中毒に注意しましょう。
牛肉は皮膚や被毛の健康維持に欠かせませんが。多く与えると消化不良で吐いてしまうことが多いです。
少量の脂質で十分なので、適切な量を与えるように意識しましょう。
またのどに詰まらせないように一口サイズに切ってください。
骨付きの場合は誤飲して窒息する恐れもあるので、骨は必ず取っておきましょう。
馬肉
馬肉にはグリコーゲンやビタミンA、ビタミンE、鉄分、カルシウムが他の肉に比べて豊富に含まれています。
■グリコーゲン
血糖値を維持する働きがあります。
■ビタミンA
皮膚や被毛、粘膜の抵抗力を高め、目の健康も保つ作用があります。
犬の健康維持には欠かせない栄養素と言えます。
■ビタミンE
抗酸化作用を持った栄養素です。
ビタミンAと同じような作用の他に、血行を良くして体の状態を元気にする役割もあります。
■鉄分
体内の酸素運搬にかかわる栄養素です。
不足すると貧血につながるので、計画的に摂取させるのが良いでしょう。
■カルシウム
骨を丈夫にします。
しかし過剰に摂取すると、反対に骨折しやすくなるので注意してください。
馬肉は他の肉よりも安心安全なのが特徴です。
人間用としても生食が許されているのが馬肉で、犬に食べさせるのも心配はいらないでしょう。
与える際は、犬の食べやすい大きさに切ってから与えてください。
鹿肉
鹿肉は、鉄や亜鉛、リンなどのミネラルが豊富に含まれています。
■鉄
不足すると貧血を起こすことがあります。
生理中には不足しがちなので、食事から摂取してください。
■亜鉛
皮膚や被毛の健康維持に必要な成分です。
肝疾患をサポートする働きもあります。
■リン
骨や歯を作るのに欠かせません。
神経や筋肉が正常に動くように、サポートする働きもあります。
鹿肉は、衛生処理がされて出回ることが少ないですが、犬に与える場合は必ず衛生処理が行われた鹿肉を選んでください。
衛生処理が不十分なものは、生で与えると寄生虫に感染したり、病気を起こしたりする危険があります。
また鹿肉は鮮度も特に重要なので、入手したらなるべく早めに食べさせましょう。
羊肉
羊肉にはビタミンB12や鉄、カルニチンが含まれます。
■ビタミンB12
犬の代謝に必要不可欠な成分です。
赤血球の生成や、DNAやタンパク質、脂質の合成などを行います。
不足すると脳や神経にダメージを受けることもあるので注意。
■鉄
体中に酸素を運びます。
不足すると貧血をはじめ、下痢や発育不良にもつながります。
■カルニチン
脂肪燃焼効果のある栄養素です。
他にも老化予防や心筋機能の強化、脳神経機能のサポートなどにも役立ちます。
羊肉は食中毒を起こす細菌や寄生虫がいないわけではないですが、数は非常に少なくなっています。
生で与えても健康被害が出る心配はほぼないでしょう。
ただ羊肉はアレルギーを起こしやすい食材なので、注意は必要です。
初めて食べさせるときは、少量与えてから体調に変化がないかしっかり様子を見てあげてください。
鶏肉
鶏肉にはビタミンAやビタミンBが豊富に含まれています。
■ビタミンA
皮膚や粘膜の健康を保つ成分です。
皮膚がきれいになったり、粘膜でできている消化器官を健康にしたりと効果は絶大と言えるでしょう。
また鶏肉に含まれているビタミンAは、豚肉の約3倍、牛肉の約10倍と言われています。
■ビタミンB群
この中でもビタミンB1は精神面に大きな効果を発揮します。
脳や中枢神経には糖などの栄養素がないと不安定な状態になりますが、ビタミンB1が代謝をスムーズにし、糖を必要な部位に行きわたらせられるのです。
鶏肉も生で与えることができますが、サルモネラ菌が付着している可能性があり、食中毒を起こす場合があるので要注意です。
加熱して与えるほうが安全ではありますが、生肉を与えたい場合は新鮮なものを与えるようにしましょう。
レバーを与えるときは特に気をつけてくださいね。
また犬の丸飲みにも注意が必要です。
犬はよく噛まずに飲み込む習慣があるので、大きいサイズのまま与えるとのどに詰まらせる可能性があります。
のどに詰まらない程度の大きさに切ってあげましょう。
手羽先は特に気をつけてください。
骨が付いているので、そのまま与えると骨が刺さってしまう危険も考えられます。
犬に生肉を与える際の注意点
これまでの項でも少し触れてきましたが、生肉を与えるのには注意すべきポイントもあります。
この項では生のまま与えてはいけない肉や、食べさせるうえで注意が必要な点をもう少し詳しくまとめます。
豚肉
豚肉は生のまま与えてはいけません。
豚肉には「トキソプラズマ」という寄生虫が寄生していることがあるので、生で与えると犬に寄生する恐れがあります。
感染しても特に症状が現れない場合もありますが、何らかの不調で免疫力が低下しているときに感染すると、下痢や呼吸困難、けいれん、肺炎、肝炎、脳障害などの症状が現れます。
また妊娠中の犬に感染すると、死産のリスクが高まります。
豚肉をどうしても与えたい場合は、生ではなく必ず加熱しましょう。
鶏肉
前述しましたが鶏肉は基本的に、生の状態でも与えられます。
ただ、サルモネラ菌が付着している場合があるので注意は必要です。
サルモネラ菌によって食中毒を起こすと下痢や嘔吐、発熱などの症状が見られます。
症状がひどい場合、死に至る危険性も高いので何らかの異変を感じた際は、すぐに病院に連れていきましょう。
鶏肉は加熱して与えるほうが安心ではありますが、生で食べさせる際にはできるだけ新鮮なものを選んでください。
アレルギー
すべての食材に言えることですが、犬はもともと肉食動物と言っても、肉に対してアレルギーを起こす可能性があります。
特に牛肉や羊肉は、他の肉よりもアレルギーを起こしやすいので注意しましょう。
アレルギーを起こすと、下痢や嘔吐などの症状が見られます。
初めて与えるときは、少量にしてください。
最初から大量に与えると、万が一アレルギーがあったときに、愛犬が苦しい思いをしてしまいます。
初めは少量与え、アレルギー症状が出ていないかしっかり様子を見てあげましょう。
そこで何らかの症状が見られたら与えるのをやめてください。
何も異常が見られなければ、与えても大丈夫です。
総合栄養食にはならない
生肉は栄養が豊富ですが、ドッグフードのような総合栄養食ではないので、主食として生肉のみを与えるのはおすすめしません。
どうしても栄養の偏りが起きてしまうのです。
栄養の偏りは体調不良の原因となるので、注意してください。
生肉ばかり与えるのではなく、週に1~2回ほど生肉中心の食事を用意するのが良いかもしれません。
また普段のドッグフードにトッピングとして少量混ぜたり、おやつとして与えたりするのもおすすめです。
生肉を上手に取り入れて、栄養を効果的に摂取できるようにしましょう。
まとめ
生肉についてまとめてきましたが、いかがでしたでしょうか?
もともと肉食動物だった犬にとって、栄養豊富な生肉は最高の食材と言っても過言ではありません。
健康維持には欠かせない、免疫力向上などの効果が得られるので、愛犬に与えたいと考えてる飼い主さんも増えてきています。
保存が難しい、費用がかかるなどデメリットもありますが、冷凍保存をしたり生肉をメインで与える回数を減らしたりと工夫すれば、これらのデメリットも十分にカバーできるでしょう。
またデメリット以上に、様々な健康効果を得られるという大きいメリットがあるので、生肉を与えようか迷っている飼い主さんは挑戦してみるのも良いかもしれません。
ただ、アレルギーの心配や生では与えてはいけない肉もあるので、与えるうえでの注意が必要なポイントはしっかり頭に入れておく必要があります。
上手に愛犬の食事に取り入れれば何も問題ないので、愛犬の健康のためにも生肉を与えてみましょう。